2011年12月2日金曜日

オランダ人画家キース・ヴァン・ドンゲン




オランダ人画家キース・ヴァン・ドンゲン、20歳の頃にはオランダからパリに移り住み、マティスを中心とするフォーヴィスムに参加し、力強い色彩と官能的表現で次第に頭角を現した。売れっ子の肖像画家としてパリ社交界の寵児となったドンゲンは、その強い個性と奔放な作風で大いに注目される。1929年の世界経済大恐慌、1933年のヒットラーの登場、そして1936年のナチス・ドイツのラインライト進駐、スペイン内乱と続く、一連の変動の中で、そのような甘い生活は泡沫のように消えて行ったのである。その後のドンゲンは、1968年に91歳で没するまで、南仏のコート・ダジュールに隠棲した。最後まで描き続けたが、かつての官能性も洗練も失われて、老後の余技といった作風に堕してしまった。

わたしがまだ若き頃、一時期「マチスの色彩とその独自の構成」に惹かれていた。同じ頃に、「ヴァン・ドンゲン」の作品を見る機会があった。マチスの洗練された画風のそれに比して、ヴァン・ドンゲンの技法はかなり稚拙に見えたものです。ところが、近頃はその「魅力」に囚われている。冷静でいられない感情が入り込むことで、表現が大きく変化する、制御できないパトスこそが「創作の源泉」ではないか・・・そう思うのです。年齢とともにパトスが鎮静し、それに反比例するように表現技術が習熟する、結果として、線も色彩も画面に心地好く収まってしまう・・・。「綺麗で心地いい絵」が多いことに、気づく。わたしだけでないのかもしれない・・・。