2011年3月2日水曜日

レオナルド・ダ・ビンチの『白テンを抱く貴婦人の肖像』P-2


レオナルドのノート(手記)は、観察したことやそれらをもとに試みたことが記録されています。残された資料は膨大ですが、そこにはレオナルドの情感がほとんど見られません。意識的に感情を排除したものと思われます。まれにですが、メモの中にレオナルドの感情が読み取れる箇所があります。そのひとつに、チェチリア・ガッレラーニについて書かれたものがあります。チェチリアの名前にtu(親しい人につける敬称)をつけて書いている(敬称voiが通常です)。「・・・崇高なるチェチリア、わが最愛の女神よ・・・」と書かれているのです。再び『白テンを抱く貴婦人の肖像』を眺めていると、成熟した知的な女性の表情が見て取れます。いくつかのメモから、この賢い少女が、画家レオナルドのアトリエを訪れていることがわかります。ルドヴィーコ・イル・モーロは、この肖像画には代価を払っていません。数年後、チェチリア・ガッレラーニはルドヴィーコ・イル・モーロ配下の伯爵家に嫁ぎます。この期間に、レオナルドは2枚のマリアの絵を描いています。レオナルドのメモにでてくる『鏡』は「客観的に見ること」を意味するのですが、ここでは『時間』を意味するのかもしれません。後年、チェチリアは「わたしは、あの『肖像画のわたし』ではない」と言っています。

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