「火消し風俗伊達姿 浮世絵版画(芳賀書店版)」に江戸の粋を見る
「火事と喧嘩は江戸の華」、世界有数の大都市「大江戸」は、成熟した文化と裏腹に火災が頻発した都市でもある。そこで活躍したのが、大名火消し(加賀藩・加賀鳶の喧嘩騒動は有名)や町火消し「いろは四十八組・深川十六組」であった。火災騒動で印象深いのは、歌舞伎の「伊達娘恋緋鹿子」、八百屋お七が狂乱状態で櫓の半鐘をうち鳴らす場面、炎に包まれた鐘を打つ娘の振袖と散る桜、その艶やかさがいつまでも目に残っている。江戸文化とは不思議な文化でもある、喜怒哀楽の襞にこういった「美意識」が密やかに育っている、粋でいなせな文化もそこで育まれたものに相違ない。この本に収められている多くは「浮世絵版画」、そういった江戸のエスプリ(精神文化)にわたしたちは魅了されるのである。
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